『国文化財の宿 美保館』宿泊記ー夜の本館は映画の世界に迷い込んだような不思議な空間
島根県の美保関に、国の有形文化財に登録された老舗旅館『美保館』があります。雑誌に掲載された美保館の美しさに心惹かれて以来、ずっと訪れてみたかった宿でした。
秋。ようやく念願叶い、子供と一緒に家族旅行を兼ねての宿泊です。
- お宿での実体験を書きました
- 夜の本館は、なんだか「千と千尋の神隠し」の世界に迷い込んだよう。
- 記事の最後にはお宿のSNS口コミも!
美保館へチェックイン
お宿についたのは、夕方17時。ちいさな内湾に沿って立ち並ぶ建物の一角に『美保館』があります。
駐車場は、海の目のまえ。波止場から落っこちないように、慎重に車を停めました。車を降りると、潮の香りとともに、旅館の方がお出迎え。
私が雑誌でみた憧れの建物は、美保館の「本館」です。本館は大変貴重な建物なので、朝食会場に利用されていて、宿泊出来るのは「新館」のみとなっています。
さっそく宿泊する新館の中へと入ります。レトロな雰囲気の館内は、本館とはまた違った魅力がありました。
チェックインの受付を済ませると「どうぞ、お好きな浴衣をお選びください」といわれました。みると、受付の横に数種類の浴衣が並べられています。子供用も種類豊富。
一緒に来ている我が子と、ウキウキしながら浴衣を選びました。浴衣を着たまま、港町をお散歩することもできるようです。
美保館のお部屋
浴衣を選んだあとは、エレベータに乗って二階へ。
案内された角のお部屋は「出雲」と名前がついていました。
扉を開けると、小さな玄関にバスルーム。水回りは改修されたのか、ピカピカで清潔です。
玄関を上がり襖を開けた先には、広い畳部屋がありました。その奥には障子戸があり、開けると鏡台やテーブル・椅子が置いてある快適なスペース。
そして、そこにある窓からは海が見渡せました。小さな港町の風景に、旅情を感じます。
さっそく美保館のお風呂へ
夕食のまえに浴衣に着がえ、お風呂へ向かいました。お風呂は新館の最上階にあります。とても広々している大浴場の大きな窓からは、海が一望できました。
石造りの浴槽も広く、のびのびとできます。思わず泳ぎだしそうになる子どもを引き止めながら、じっくりお湯に浸かりました。洗い場も間隔が広くとってあるので、子供連れでも快適に使えます。
美保館のキッズルーム
この大浴場のある階には、旅館には珍しい「キッズルーム」がありました。
プレイマットが敷かれた場所に小さなすべり台、ぬいぐるみ、絵本、などが並んでいて、夫がお風呂に入っている間、子どもとカブトムシの絵本などをみながら楽しみつつ待つことができました。
美保館の夕食のお料理
お風呂でさっぱりしたあとは、夕食の時間。夕食の準備ができると、中居さんが部屋まで呼びにきてくれます。
スリッパを履き夕食会場へ。夕食会場は客間のような個室でした。洗面やお手洗いも完備されています。子供連れなので、個室はとてもありがたいです。
テーブルには、所狭しとたくさんの夕食が並べられていました!
豪勢な夕食に「ワアー!」と思わず歓声を上げてしまいます。
小さな子にも、ちゃんと豪華な夕食が用意されていました。 いよいよ、宴のスタート!
港近くだけあって、新鮮なお刺し身が並びます。この地方特有の、甘みのある醤油につけていただきました。もちろん、味は絶品です。
こちらは、サーモンのカルパッチョ。身とタレが美味しくて、すぐに空になってしまいました。
そして、今回のメインは「紅ズワイガニ」1人1杯ずつあるのが嬉しくて、写真をパシャリ。
こちらは茹で蟹ですが、このほかカニの刺身も堪能しました。身がプリプリで新鮮そのものです。ほのかな甘味に夢見心地になりました。
ある程度ゆで蟹を楽しんだらカニ味噌や身をカワイイ鍋に入れて、ご飯と一緒に「カニ雑炊」口の中に広がる、カニの味と香り。まさに、至福のひとときでした。
夜の美保関でお散歩
美味しい夕食でお腹が一杯になったあとは、夜の美保関をお散歩。
宿の裏手にある青石畳通りには、多くの詩人・文豪が美保関について詠んだ歌碑が並んでいます。
街頭に照らされた石畳、入り組んだ家々と路地、内湾の穏やかな風吹く夜の港。なるほど、ついつい詩を詠みたくなる場所でした。
美保関の青石畳通りの入り口に掲げられていた提灯。「だんだん」とは出雲弁で「ありがとう」
青石畳通りのお醤油屋さんに、ぽつんと明かりがついていました。
ふらりと近寄るとガラス戸の奥に、お行儀のいい猫さんが座っています。閉店あとの店番をしているようで、なんだか物語のような可愛らしい光景でした。
夜の美保館本館はまるで「千と千尋の神隠し」の世界
美保館の本館では、夜にひっそりとBARがオープンします。
子供連れだったので今回は行けませんでしたが、宿泊客は「本館の見学無料」とのこと。夜のお散歩がてら、さっそく念願の本館を訪れました。
なかへ入ると、夢のような光景が広がります。写真のブレ加減からも興奮が伝わってきますね。なんだか「千と千尋の神隠し」の世界に迷い込んだよう。
ガラス天井からは星空がみえました。屋外のような屋内のような、不思議な空間。
館内の至るところに、意匠が凝らされていました。
懐かしの黒電話。よく見ると、現役で使われていたので驚きました。
清掃も行き届いていて、大切に管理されていることが伝わってきます。夜の美保館をじっくり楽しんだ時間は、いまだに夢だったのではないかと思うほど特別な体験でした。
美保館の朝
そして、朝。障子を開けると素晴らしい景色。 窓をあけ、港を眺めながら支度をして、朝食を食べに朝の美保館本館へ。
この日は、朝方は天気雨。濡れて一層美しくなった青石畳を愉しむことができました。
本館へ到着すると、夜とはまた違った雰囲気。屋内ですが、朝日が降り注いでいます。
本館の2階。海を望める朝食会場にて、朝ごはんをいただきました。窓が開けられ、潮の香りが漂っていました。朝から爽やかな気分です。
朝食はとても丁寧に作られており、なかでもイカは甘みが強くて新鮮そのもの。憧れの美保館本館で、港町ならではの美味しい朝食を味わい、身も心も満腹になりました。
朝の神社参拝と美保館をチェックアウト
チェックアウト前には、恵比寿様が祀られる美保神社にて「朝御饌」を見学。幸運なことに秋分祭と重なり、一年に一度の神事を間近で拝見することができました。
朝の神事に心清らかになったあとは、宿から望む港町の景色を名残惜しく思いつつチェックアウト。宿の方に見送られながら、美保関をあとにしました。
美保館のブログ宿泊記まとめ
国の有形文化財に登録された「美保館本館」は、期待を上回る素晴らしさでした。建物自体もさることながら、美保関の港町の光景も、昔にタイムスリップしたかのような錯覚が起きます。
食事も素晴らしく「かに料理」は絶品。境港もほど近く、大きなカニが惜しげもなく食事に使われています。お腹から蟹の足が生えそうなほど、カニをたらふくイタダキました!
また美保館は、子供連れにも優しいお宿です。キッズールームはもちろん、子供用浴衣や子供椅子などの細かい配慮も行き届いていました。
今回は時間の都合上できませんでしたが、釣り竿の貸し出しもあり、お宿の目の前の港で釣りも楽しめるそうです。
次にまた訪れるときには、美保神社に祀られている恵比寿さんのように、のんびり釣りを楽しむのも良いかもしれません。鯛が釣れますように。